凄演 爆演 珍演

クラシック音楽に限ったことではないでしょうが、時々トンでもない演奏のCDに当たることがあります。マニアの中には、こういったCDを蒐集している人もあるぐらいです。

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最晩年日本にやって来て、かの吉田秀和から「ひびの入った骨董品」とこき下ろされたホロヴィッツですが、若い頃は超人的な演奏をしていたことを証明するCDがこれです。ワルターと組んだブラームス、チャイコフスキーの協奏曲のどちらも凄まじい演奏です。特にブラームスのピアノ協奏曲は、まさにデモーニッシュという言葉がこれほど似合う演奏もないでしょう。第一楽章が終わった時、会場から拍手が巻き起こったというのも異例な事です。
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ラフマニノフのピアノ協奏曲第三番は難曲中の難曲とされますが、ホロヴィッツは若い頃から何度も録音し、ライブも数多く残されています。その中でも一番凄いのが、バルビローリとのライブでしょうか。このスピード感、とても人間技とは思えないほどです。
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ピアノがホロヴィッツであれば、ヴァイオリンはハイフェッツでしょう。これはスタジオ録音なので凄みという点では劣りますが、完璧無比なハイフェッツのテクニックを堪能できる一枚です。特にラロのスペイン交響曲とサラサーテのツィゴイネルワイゼンを聴いてみると、全くミスがないばかりか、これこそ神業ではないか?と思えるほどなのです。
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ドイツの指揮者アーベントロートのライブ演奏を集めたCDがあります。ブラームスの交響曲ばかりですが、その中でもバイエルン国立響との第一番は、爆演中の爆演としてよく知られています。特に終楽章、オケを煽りに煽り、フルトヴェングラーでもここまでしないだろうという凄絶さです。ただし全体的には、終楽章だけがちょっと偏っているような印象を受けます。あくまで記録として愉しむぐらいでしょうか。
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最後はクナッパーツブッシュとバックハウスのベートーヴェン「皇帝」です。いきなり冒頭から、オケとピアノがあっていません。そればかりか、途中でピアノがオケを置き去りにしていまうという珍演なのです。協奏曲は指揮者とソリストが互いに協力し合って演奏するようなイメージなのですが、こちらは個性がぶつかり合うだけの「競争曲」になってしまっていて洒落になりません(笑)。

これまで月末に行っていたCDレヴューは今回でお終いにします。時々不定期でCDを採り上げることになりますが、その場合は一枚を掘り下げる形になるかと思います。
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コメント

No title

お名前は曲名は
なんとなく知っている程度の
門外なわたしですが
さいごの!
そんな事ってあるんだねぇ。
まるで
のだめカンタービレ
の1シーンみたいな。

って、なんだか年度末を
明日から新年度が始まるって
そんな印象な今朝でした。

No title

└|∵|┐高忠┌|∵|┘さんおはようございます。
正直、こんなのCDにして売ってよいのか?というレヴェルなのです。この二人は時々コンビを組んでいましたが、お世辞にも相性が良いということはなかったようで、残された演奏もあまり芳しくありません。まあ、昔の演奏家は今の人と比べても、はるかに個性が強くて自分勝手に演奏していましたから。
明日から新年度ですね。いろいろと忙しくなりそうです。

No title

出だしからインパクトのある曲ですね
激しさと優しさの狭間に生まれる美を
楽しむ曲なのでしょうか。
クラシックは何十年何百年経っても
同じ曲なのに新鮮なのは
完成度が高いからなのでしょうか?
私はクラシック=カヴァーという認識で聴いてますが
個性的にカヴァーするか
忠実にカヴァーするかはカヴァーする側の勝手で
決まりは無いのでしょうか?
評価するのは優劣は無い世界なのでしょうか?
私は音楽に対しての概念が
なぜ時代がこの曲を生んだのか?
このアーティストは何を表現したかったのか?
ここが重要で技法や上手下手は
それほど気にしないのですが
クラシックもそんな感じ聴いても良いのかなと思うが
何を言いたいのか理解できないので
難しいです。

No title

おはようございます
もうだいぶ前にホロヴィッツが来日した時にお誘いがあったのですが、仕事が忙しく断念。一度は生で聴いてみたいピアニストだったです。とかくテクニックだけ磨いて音楽性のない音楽家も多いです。音楽はテクニックだけでは人を感度指せることはできませんからね。

No title

おはようございます。
夫ならこういうお話も出来ますが、わたしには、ごめんなさい。
いいものは時代が変わっても生き続くものですねぇ。
音楽があればこそ、どんな事態が起きようと生き抜くことも出来るって思いますわ。

No title

せいパパさんおはようございます。
うーん、この曲はこんなに激しい感じの曲ではないと思うのですが…。これはブラームスを聴くというよりも、ホロヴィッツを聴くためのCDですね。
基本的にどう演奏しようが自由ですが、聴衆に説得力のある解釈をしないと評価はされませんね。これには伝統的な物もあれば、新たに支持を得るようになった解釈もあります。その時代によっても随分と違いますね。ですから、仰っていることは的を射ていると思いますよ。まあ、ホロヴィッツやハイフェッツの場合、圧倒的な技量で観客をねじ伏せてしまっているといった感じでしょうか。それを容認したアメリカという地の特徴もあります。

No title

くるたんパパさんおはようございます。
それは二回目の来日だったのでは?最初の来日の時には、かなり薬物依存の影響で、ヘロヘロだったようですね。それで「ひびの入った骨董品」と。それのために¥50,000も払った客はたまったもんではありませんが(笑)。
テクニックばかり磨いてという批判もありますが、ここまで突き抜けてしまうと、誰しも黙らざるを得ないでしょう。

No title

ムームーさんおはようございます。
クラシック音楽を聴く愉しみというのは、単に癒しを求めるというだけではなく、演奏家の解釈を自分の価値観に当てはめてみるということもありますね。マニアになるとこちらの方が強くなります。
昔と比べると、今の演奏家は個性があまり感じられなくなりました。時代もあるのでしょうが、変にまとまりが良くなってしまうというのも詰まらないものですね。

No title

最近は、レコードが再注目されているようですねぇ。

プレイヤーも発売されているようです。

音響設備の整った場所でゆっくりと聞いてみたいです、クラッシック。

No title

クラシックはあまり聴きません。ペルシャの市場にてみたいにポピュラーなものはよく聴くんですが。
従って持ってるCDもポピュラーなものばかりです。本格的なものは理解できないんです。

こんばんは!

やはり~
誰しも人間ですから
体調によって
デキが悪いこともあれば
神がかりもあるでしょう
まあ~あくまで極限までやったらばこそですが

No title

MONTAさんおはようございます。
CDに比べると、LPの音の方が良いという話はよく聞きますね。何故CDがLPを駆逐したのかを考えてみると、取扱いがLPよりも格段に楽だということが言えると思います。逆に音質そのものは向上したか?ということはなく、むしろ劣化したのでは?とずっと云われていました。まあ、金に糸目をつけないのであれば、LPの方が良いことは間違いありませんね。

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nibari1498さんおはようございます。
ベートーヴェンでも、第九や運命は聴いたことがあるという人がほとんどでしょうが、同じ交響曲でも第一番をどれだけの人が聴いているでしょうか?九つある交響曲でも、有名でない曲はどんなものだろうか?と思うか否かで、その後の展開が変わってくるような気がします。それだけでなく、TVのCMに使われている曲は何だろう?とずっと思っていれば、いずれその曲と巡り合うことになります。こうしているうちに、だんだんと深みに嵌まっていくわけですね(笑)。

No title

維真尽(^^♪さんおはようございます。
ホロヴィッツはコンサートの前になると、ひどく神経質になって、もう辞めたいというような事をよく漏らしていたようです。奥さん(トスカニーニの娘です)やマネージャーに尻を叩かれて舞台に立つと、まるで別人のようになったとか。芸事に生きる人は、得てしてこういったタイプが多いですね。人前に出るのが嫌なのに、舞台に立つことを止められない、そんな人間でないと、神懸った演奏は出来ないのかもしれません。

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